野口聡一宇宙飛行士がISSから撮影したモーリタニアとリシャット構造です。

アフリカ大陸の西側に位置するモーリタニアは、全土がサハラ砂漠に位置するため国土の90%以上が砂漠であり、中央部にリシャット構造と呼ばれる同心円状の特徴的な地形があります。南部のセネガル国境を成すセネガル川流域や点在するオアシスが僅かに乾燥を免れた地域となっています。大西洋岸とセネガル川流域には平野が広がり、内陸部は高原となっています。モーリタニアの主産業は鉱業であり、なかでも北部のズエラットで採掘される鉄鉱石が経済の柱となっています。2014年度には鉄鉱石輸出は輸出の39.9%を占めて最大輸出品となっており、このほか、金が輸出の15.1%、銅が輸出の10.1%を占めるなど、鉱業がモーリタニア経済に占める割合は大きいです。鉱業と並ぶモーリタニア経済のもう一つの柱が水産業です。2014年度には魚介類輸出が輸出の14.7%、これと別枠でイカ・タコ類が10.6%を占め、おおよそ輸出の4分の1が水産物で占められています。
また、アフリカ北西部、モーリタニアの中央部に巨大な環状構造、リシャット構造があります。直径は約50kmに及び、宇宙空間からでないとその全容は掴めませんが、その形状から「アフリカの目」、「サハラの目」と呼ばれることもあります。周囲はサハラ砂漠に囲まれ、標高100~200mほどの高台の中に、窪地となったリシャット構造が存在します。構造内部は、同心円上に標高100mほどの山が幾重にも重なっています。発見当初は、隕石の衝突によるクレーターと思われていましたが、調査の結果、特有の鉱物が存在しないこと、直径に比べて深さが浅いことなどから、これは否定されています。山を形成するのはカンブリア紀の固い岩石であり、長年の風化や浸食によって、柔らかい岩石部分が削られ、このような地形が形成されたとされています。また、環状となったのはドーム状の隆起運動のためと考えられています。
地上の様子はこちらです。

参考文献: Soichi Noguchi’s Tweet
地球俯瞰画像を見る: LiVEARTH